木工旋盤を始めるための基本知識

ハードルの高かった「木工旋盤」も、海外の職人たちが積極的に情報を発信し始めたことで技術の習得や情報収集が容易になりました。未だに日本国内における木工旋盤や関連用品の流通は限定的かつ円安の影響で割高ですが、一番の難関であった技術習得が容易になったという点で入門のハードルは下がっています。
私自身が2025年になって初めて木工旋盤を手にするにあたって、とことん情報収集をしました。100時間以上の動画視聴、Webでの情報収集はそのほとんどが海外のコンテンツであるために苦労した点も多いです。国内外を含めてすばらしいコンテンツが用意されているとはいえ、初心者目線ではなかなか疑問が解消しないことも多々ありました。

そこで、素人が一歩目を踏み出すための優しい情報が足りないと感じたためこの記事にまとめようと思います。

1.木工旋盤に必要なもの

木工旋盤やその用品は多種多様で、YouTubeなどで情報収集してもよくわからない道具がたくさん使われていて混乱してしまうかもしれません。しかし、まずは3つの道具を揃えることで木工旋盤を始めることができます。

  • 木工旋盤(本体)
  • 刃物
  • チャック

1-1.木工旋盤(本体)

第一に重要な道具は木工旋盤そのものです。本体を選ぶために、その他の工具の感覚でAmazonや楽天市場などのECサイト1をチェックしてもうまく比較・検討ができないはずです。木工旋盤は間口が広がったとはいえ、いまだに用品の流通は限定的で、限られたお店でしか販売されていません。

そこで基礎知識として「どんな販売店やメーカーがあるのか?」そして「有名メーカー製品を選ぶ必要があるのか?」という2点を解説します。

どんな木工旋盤のメーカーがある?

世界各地にたくさんの木工旋盤メーカーが存在しますが、日本国内では流通が限定的です。木工旋盤を販売しているショップとしては以下の4店舗が有名です。

そのなかで取り扱われている木工旋盤のメーカーとしては以下のようなメーカーがあります。木工旋盤に触れてこなかった人にわかりやすいよう、非常に卑近な表現ですがメーカーの格とでもいうものを★で表現してみます。

メーカー評価販売店
Robust★★★★★ツバキラボツールズ
Vicmarc★★★★★ツバキラボツールズ
POWERMATIC★★★★ナカジマツールズ、オフの店
JET★★★ナカジマツールズ
LAGUNA★★★オフの店
RIKON★★オフの店
KERVオフの店
PEAWOODピーツールズ
ACUTUSナカジマツールズ

RobustやVicmarcは文句なしの一流メーカーです。価格も超一流なので、この記事では触れません。また2025年時点ではPOWERMATICやJET製品も小型の卓上タイプは存在するものの日本では流通していません。LAGUNA以降のメーカーであれば様々なラインナップがあって、入門機としても現実的な選択肢になってきます。中身は中国や台湾といった人件費の安価な地域で製造されており、特にKERV以降のメーカーはほぼ独自ブランドでOEM販売している状態に近いと言われています。

有名メーカー製品を選ぶ必要があるのか?

木工旋盤は精度が求められる機械ではありますが、その構造は極めてシンプルであり、枯れた技術で構成されています。そのため2025年現在であれば、中国製のOEM製品2であっても全く実用上問題なく、長期の使用にも耐えることができます。

また精度以上に本体の剛性や重量が重要です。木材を高速回転させつつ加工するため木工旋盤は振動がでやすいですが、本体重量と剛性さえあれば振動をかなり抑え込むことができます。逆に精度がどれだけ良くても、本体が小型・軽量で振動が出てしまっては折角の精度も意味がなくなってしまいます。

そのためあまりメーカーにはこだわらず、自身の予算や設置場所などの条件のなかで一番大きくて重くて強そうなモデルを選びましょう。もちろん細かな仕様や装備の違いなどを確認して自分に合った製品を選ぶ必要があります。旋盤の選び方は詳しく後述します。

とはいえ、趣味で使用する木工旋盤はスタンド付きであっても、スタンドのない卓上タイプであっても小型・軽量であるため、設置する作業台やスタンドを床に剛結することが肝要になります。

1-2.刃物

木工旋盤の次に必要なのは、木材を加工する刃物です。

スキュー、スクレーパー、スピンドルガウジ、ボウルガウジ、パーティングツール・・・多種多様で馴染みのない名前が並びます。必要に応じて買い揃えることになりますが、とりあえず「スピンドルガウジ」と「ボウルガウジ」さえあればほとんどの状況に対応できます。

もちろん木工旋盤本体とセット販売されるスターターセットなどを利用するのも良い方法ですし、ヤフオクやメルカリなどで中古で買い揃えるという手もあります。困ったら「スピンドルガウジ」と「ボウルガウジ」を1本ずつ入手しましょう。サイズ表記の揺れがあるのですが、とりあえず12mm~16mmあたりを選んでおけば後々無駄になることはありません。

刃物もクラウン、ロバート・ソービーといった一流メーカーから、ハムネット、ハリケーンといった有名メーカー、そしてノーブランド製品まで幅広いのですが、やはり良いものは高いです。最低限の品質と安さを両立している製品としてはピーツールズが販売する中国製のPHUKIMLONGブランドの刃物が挙げられます。

木工旋盤用の刃物はHSS(高速度鋼 – Wikipedia)であることが最低条件で、HSSか旧来の炭素鋼かどうかだけで切れ味や研ぎに大きな差があります。HSSのなかでも規格が存在し、昨今はM2 HSSと呼ばれる高級鋼が主流です。PHUKIMLONGブランドの刃物はM2 HSSを採用した刃物として国内ではバリエーションや入手性、そして何より安さにおいて最も優秀と言っても良いと思います。

ピーツールズでは「PHUKIMLONG」というブランドを明示していません

もし「いきなり高価な刃物はちょっと」ということであればピーツールズの刃物を候補に入れてみても良いかもしれません。先ほど例に挙げた12mmのスピンドルガウジとボウルガウジとしては以下の商品が該当します。

1-3.チャック

木工旋盤と刃物が用意できれば早速加工を始めることができます。しかし、多くの場合は「チャック」を買い足す必要でてくるはずです。そのため事前に用途にあわせてチャックを選択しておくと良いです。

チャックは木材を保持するための道具です。木工旋盤を買うとドライブセンターやフェイスプレートが付属することが多いです。ドライブセンターはテイルストック側の回転センターと合わせて木材を前後から押して保持するための道具です。一方でフェイスプレートは木材をプレートにネジ止めして保持するための道具です。

最初はこの2つで始めることも可能ですが、間違いなくほしくなるのがスクロールチャックです。スクロールチャックは木材を4つの爪(爪のことを「ジョー」と呼ぶ)で掴んだり、逆に押し広げることで保持するための道具です。このジョーを小さなものに付け替えれば細いペンなどを保持できますし、逆に大きなジョーに付け替えれば大きなお皿を保持することも可能です。

スクロールチャックにはざっくりと分けて、両手を使って開閉するタイプと片手で開閉できるタイプがありますが、趣味であっても後者の片手で開閉できるタイプが圧倒的に便利です。

チャックの選び方は非常に悩ましいところです。チャックにもVicmarcを始めとした有名メーカーがあるものの高額です。また、木工旋盤以上に流通も限られています。しかし、安価なノーブランドや名も知れぬメーカーのチャックを買うと、後からジョーを買い足したい時に適合するジョーを見つけることが困難になります。

また海外では流通があっても、国内では流通が少ないものもあって、品質とバリエーションや入手性を考えるとオフの店で販売されている「nova」ブランドやナカジマツールズで販売される「STARTER」ブランドが筆頭候補として挙げられます。

NOVA G3 LITE チャック コンプリート (1″x8tpiダイレクトスレッド)

とはいえ、チャックにある4つのジョーを交換するのは手間ですから、実際の運用ではわざわざジョーを付け替えて使用することは少ないです。そのため、最初からジョーの交換や買い足しを想定せずに安価なチャックを購入するのも一つの選択肢です。

それ以外にも、チャックといくつかのジョーがセットになったコンプリートセットも販売されています。

【STARTER】 チャック&ジョー セットV2 木工旋盤 ウッドターニング用 4つ爪スクロールチャック

安価なノーブランドチャックとしては、Amazonで販売されているこちらのチャックがVicmarcのVM100チャックと同寸法であり、VM100用のジョーが取付可能です。(M5皿ネジ固定、ネジ間18mm、類似したスロット形状)

こうした安価なノーブランドチャックは詳細不明で手を出しづらいですが、この商品にはコメントでVM100互換という情報がありましたので実際に購入してみたところ、見事にVM100用のジョーと互換性がありました。ただし、いつ廃盤になるか、いつ仕様変更が入るか、それらが告知されるかどうか、など信頼度が低い販売店から購入するのは一種の賭けです。

実際にツバキラボツールズではVicmarcのチャックやジョーが販売されていますが、Vicmarcの以下のジョーを取り付けて使用することができました。

VICMARC VM100用 ダブテールジョー 100mm

選択が難しいところですが、まとめると以下の4通りの選択肢があります。

  • 安価なノーブランドチャックを買う(1万円)
  • 適合するジョーが販売されているそれなりのチャックを買う(2~3万円)
  • 適合するジョーもある文句なしの一流品を買う(5万円~)
  • 地道に中古品を探す(出品頻度がかなり少ない)
予算に余裕があればジョーの選択肢も豊富なオフの店で販売される「nova」ブランド、もう少し安く抑えたいならナカジマツールズで販売される「STARTER」ブランドがオススメです。そして私はノーブランドの1万円チャックから始めて今のところ困っていないので、ジョーを買い足す拡張性を考慮に入れなければ十分アリな選択肢だと思います。

2.木工旋盤の使い方と技術の習得

木工旋盤の使い方や技術の習得、情報収集はYouTubeを始めとした動画コンテンツが有用です。

日本国内で手に入りやすい日本語書籍として代表的なものに「木工旋盤の教科書」がありますが、本だけで実際のイメージをつかむのはなかなか難しいです。私自身も本当の最初の最初に基礎知識を体系的に手に入れるため購入し、いまだに手元にありますが、ほとんど読み返す機会はありません。

木工旋盤の教科書 暮らしの器を自分で作る

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2,970円(12/05 17:47時点)
発売日: 2021/10/12
Amazonの情報を掲載しています

YouTubeの動画コンテンツで学習する場合、主に3種類のコンテンツが存在します。

コンテンツ概要
マーケティング用の動画木工旋盤の販売店や工房がコンテンツマーケティングの一環として発信する情報です。
ベーシックかつ無難な触り程度の内容が多いです。知識ゼロの状態であれば雰囲気をつかむことができます。
ツバキラボ / TSUBAKI LAB
ナカジマウッドターニングスタジオ
オフ・コーポレイション
教材系の動画動画を通じた木工旋盤のノウハウを教材的に解説する内容です。
タメになる情報ですが、多くの場合はより詳細で実践的な情報を得るには有料コンテンツの購入が必要であり、その宣伝を兼ねた内容であることが多いです。
Turn A Wood Bowl
職人自らが実践しながら解説する動画職人が実際に実践している様子を撮影しつつ、そのテクニックなどを解説してくれる動画です。Craft Supplies USA
Tomislav Tomasic Woodturning
Richard Raffan

非常にざっくりとした分類ですが、木工旋盤の雰囲気を掴むだけであればYouTubeで「木工旋盤」と検索して出てくるような日本語コンテンツが有用です。

しかし、より詳細かつ実践的な情報を仕入れるには海外の職人たちが発信する情報を頼る必要があります。その中でも極めて高品質な動画を発信しているのはCraft Supplies USAです。コンテンツマーケティングの一種ですが、非常に丁寧な解説と素晴らしい動画のクオリティがあるため、英語に抵抗がなければまずはCraft Supplies USAの動画を見てみるのも良いでしょう。極めて聞き取りやすいため字幕と組み合わせても良いですし、YouTubeの機能を使って字幕に自動翻訳の日本語をつけて見るという手もあります。

更にいろいろな実践パターンや実践的なテクニックを学ぶのであれば、職人が発信する情報を見るのが近道です。その代表ともいえるのは、ご高齢で既にリタイア済みながら著名な職人であるRichard Raffan氏(Richard Raffan)でしょう。英語も聞き取りやすく、凝った撮影で非常にわかりやすく解説しつつ素晴らしい作品作りのノウハウを得ることができます。

同氏を師に持つTomislav Tomasic氏(Tomislav Tomasic Woodturning)も同系統の情報を発信しています。発音が東欧系の訛りが感じられるものの非常に聞き取りやすいのも日本人には嬉しいです。撮影・録音機材も凝っているようで声が機械音に紛れることもありません。

3.木工旋盤の選び方

木工旋盤の選び方は、自身の使い方にあったもののなかで、大きくて重いものを選ぶのが正解です。それでは自身の使い方に合うかどうかをどのように見極めれば良いでしょうか?

3-1.電源

木工旋盤を選ぶにあたってまず始めに選択する必要があるのが電源です。

一般家庭のコンセントは単相100Vですが、本格的な木工旋盤は三相200Vで駆動するものが主流です。昨今は趣味やDIYといった用途にあわせて小型かつ単相100Vや単相200Vで駆動するものも多く、少なくとも日本国内でECサイトを通じて簡単に手に入れることができる多くの機種は単相100Vを採用しています。

しかし、本格的なユーザーのために三相200Vの機種も販売されているため、電源が間違いなく単相100Vであることは確認する必要があります。

単相200Vは、家庭用の大き目のエアコンやIHコンロなどで使用され、電気工事を行うことで使用可能になりますが、三相200Vを家庭で使いたい場合には電気工事に加えて電力会社との契約から見直す必要が出てきます。

3-2.モーターのパワー

次にモーターのパワーから木工旋盤を絞り込んでいくことになります。

モーターには「誘導モーター」と「DCモーター」がありますが、あまり気にする必要はありません。大切なのは「馬力」です。

誘導モーターであれば、慣習的に1馬力=750Wと言われますが、DCモーターではもう少し低い消費電力でも1馬力とみなされます。これはDCモーターが効率に優れるためです。同じ馬力であれば実際のパワーが同じと単純に考えてしまって問題ありません。馬力の単位として英語表の「HP」が使われることも多いです。

趣味用途の木工旋盤では以下のような馬力のバリエーションがあります。

馬力単相モーターの電力換算備考
1/2馬力400W細いペンや小物の加工であれば問題ないが、それ以上の加工では回転が止まりやすくストレスを感じる。
3/4馬力550W小物から手のひらサイズ程度の加工であれば問題ないが、それ以上の大きさではストレスを感じる。
1馬力750W趣味用途としては十分なパワーで、やや大き目の皿なども加工できるが、抵抗が増すと回転が止まることは少なくない。
2馬力1500W十分なパワー。単相200V以上であることが多い。

基本的に大は小を兼ねることから、皿やボウルを加工したい場合には1馬力以上を選んでおくと安心です。もちろん回転が止まる原因は抵抗の大きさにあるため、良い刃物・研ぎの技術・加工の技術が組み合わされることで、パワーのない木工旋盤でも加工に耐えられますが、趣味の使用であればあまり現実的な前提ではありません。

3-3.回転速度調整

木工旋盤は適切な回転数に調整しながら木材を加工します。回転数の調整範囲や調整方法は機種によって異なり、作業のしやすさに直結します。回転速度の調整は主に以下の4つの方法に分類されます。

ベルト掛け替え式プーリーのベルトを掛け替えて回転速度を調整する方式
変速プーリー式変速プーリーをレバーで調整して回転速度を調整する方式
スピードコントローラー式スピードコントローラーを使ってダイヤルを操作して回転速度を調整する方式
インバーター式インバーター制御によりダイヤルを操作して回転速度を調整する方式

この中で避けるべきは「ベルト掛け替え式」です。速度を調整するためにいちいち木工旋盤のスイッチを切り、回転が止まるのを待ち、カバーをあけてベルトを掛け替えて、またスイッチをオンにする必要があります。非常に手間のかかる作業です。

それ以外の方式であればどれを選んでも大きな違いはありません。スピードコントローラーとインバーターに関してはダイヤルを指先で操作できる点が利点になります。変速プーリー式は、ダイヤルではなくレバーを操作して車のマニュアルトランスミッションのような形で変速します。いずれも回転中に自由に操作可能です。

3-4.最大加工長/軸間距離

「最大加工長」もしくは「軸間距離」は、木材を加工できる最大の長さとほぼ同じ意味です。

小型の卓上木工旋盤であれば400mm程度であることが多いです。少し長いものになると900mmを超えてきます。これはベッド(定盤)部分の長さに依存するため、あとから「延長ベッド」を購入することで延長することができます。

最初から長物を加工する予定がなければとりあえず小さなものを選択して、あとから延長ベッドを購入するという選択肢もあります。とはいえ、国内では木工旋盤関連用品の流通が少ないため、事前に購入しようとしている木工旋盤の延長ベッドが販売されているか確認しておく必要があります。

また、最大加工長は加工したいものの長さ以外にも見るべき観点があります。例えば「RIKON ライコンライト」の最大加工長は400mmですが、テイルストックが不要な時にはテイルストックを最大400mm分しかずらすことができません。そのため回転センターを取り外しておかないと作業中に腕をケガする恐れがあります。あるいはテイルストック自体をベッドから降ろす必要があります。

これは現実の作業においては結構な手間で、ベッドが長ければそれだけテイルストックを遠くにずらしておく必要があって快適な作業環境が得られます。また木工旋盤の大事なポイントである重量は、ベッドがその大半を占めているためベッドが長ければ長いほど重さも増して安定感が増します。

3-5.回転直径

回転直径はその名の通り、回転させることができる木材の最大直径です。多くの機種では300mm~400mm程度で、それ以上はスピンドル自体を回転させることで対応する機種が多いです。ベッドとスピンドル位置が関係しているため、基本的に400mm程度が上限になります。それ以上の大きな木材を回転させる可能性があるのであれば、スピンドル自体を回転する機能があるかどうか確認する必要があります。

逆に、細長い木材の加工に特化した回転直径の極端に小さな機種も存在するため、おおよそ300mm以上の回転直径が確保されていることを事前によく確認する必要があります。

3-6.スタンドと重量

繰り返し説明するように木工旋盤は振動を抑え込むために重量や剛性が重要です。

木工旋盤本体の重量も重要ですが、それ以上に重要なのは木工旋盤を設置するスタンドの剛性や重量です。高額な木工旋盤では、非常に頑強かつ重厚なスタンドが付属しますが、安価な木工旋盤ではペラペラで安定感のないスタンドだったり、そもそも卓上タイプでスタンド自体が付属しない機種も多いです。

そのため購入時には設置場所の確保と準備が肝要です。通常の作業台以上に頑強な作業台を用意し、床にボルトなどでガッチリと固定します。作業台の下段に棚を作って、セメントや砂などの重量物を100kg~200kg程度積んでおく方法も有効です。また、コンクリートの土間であればアンカーボルトで固定すれば問題ありませんが、一般家庭の床に設置する場合には床自体の補強もできればしておきたいところです。

4.安全対策

木工旋盤は木材を回転させるため、加工中のケガのリスクが伴います。

4-1.木材の割れ

何よりも気をつけなければいけないポイントは「木材の割れ」です。

割れの入った木材は、回転中に割れが急速に広がり完全に分離し、回転の力そのままに木の塊が射出されるように飛んでいきます。これを避けるには、以下の3つのポイントに注意を払う必要があります。

  • 加工前および加工中に何度か回転を止めて割れがないか確認する
  • 回転している木材の正面に立たない
  • フェイスシールドなどの保護具を装着する
  • 無理に力を入れた加工をしない

特に大きな木材を扱うお皿やボウルの加工では、加工前に割れの有無を確認したり、加工中に新たに露出した面に割れがないか何度か確認を行います。また、割れが浅いものであれば割れの部分を削り取る形で加工することができます。

4-2.固定の不備

木材をドライブセンターやスクロールチャック等で固定する際に、固定が不十分になると加工中に木材が外れます。小さなものであれば回転したまま床を転がるだけで済みますが、大きな木材の場合は回転の力がそのままに跳ね上がったり刃物を巻き込んだりすることがあります。

ドライブセンターを使う場合は、何度か作業中にテイルストックの回転センターを押し込みなおします。スクロールチャックは掴む部分が綺麗な円形かつフラットな面になっていないとうまく掴む力がかからず危険です。慣れないうちは慎重にチャックの掴み代を加工します。

  1. Amazonや楽天市場などのオンラインショッピングサイト ↩︎
  2. 他社が製造した製品を自社ブランドとして販売するもの。ホームセンターの独自ブランド製品などがわかりやすい。 ↩︎
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