足場用として販売されている安価なジャッキベースを使用して作業台に据え付ける木工バイスを自作します。木工バイスはクイックリリース機能のないシンプルなものでも割高で、特に大型のものは入手性が悪いためジャッキベースで自作することにしました。
材料
1.ジャッキベース
今回の主役はジャッキベースです。
作業台用のバイスに使用するネジは台形ねじや角ねじが使用されますが、特に太くピッチの広いものは高価で材料費だけで安価なバイスが購入できるほどです。ジャッキベースであれば太い台形ねじに溶接された分厚い鉄板とハンドル付きのナットまでついて1000円ほどです。通販だとやや割高ですがホームセンターだと1000円程度(最近すこし値上がり?)で手に入ります。サイズは何パターンがあるようで、今回は一番小さなミニジャッキなどと呼ばれるネジ長280mm・ネジの外径が28mm(TR28)を使用しました。
2.丸棒
ネジの左右に配置してバイス全体を支持するための丸棒です。特に力がかかる部分でもないので鉄のパイプでも木の棒でもなんでも問題ありません。今回は手持ちの木の丸棒(直径28mm)を使用しました。
3.板
材料を挟み込む板です。今回は手持ちの木の切れ端を活用しました。
作り方
1.ジャッキベースの加工
ジャッキベースはハンドルが外れないように回り止め加工が施されています。ネジ山が丸くつぶされておりこれ以上ナットが回転しません。潰されたネジ山をグラインダーなどで削ることでナットが通過できるようになります。
2.バイス(作業台側)の制作
バイス本体にはジャッキベース付属のハンドル付きナットを埋め込みます。ハンドル付きナットが空転しないようにすればどんな方法でも構いません。今回は厚めの木の板にハンドル付きナットがすっぽりと収まる穴を彫って、接着剤で固定しました。
また、今回使用した木は柔らかい松の集成材だったので合板でサンドイッチすることで補強しています。
ハンドル付きナットを固定できたらその左右に丸棒を通すための穴をあけます。今回は28mmの丸棒を使用したので30mmの穴をあけました。穴がきつすぎるとスムーズにバイスを開閉できませんが、大きすぎても開閉時のがたつきにつながります。動画終盤で開閉している様子を見ると少しガタガタしているのがわかると思います。とはいえ多少ガタついたところで見た目が悪いだけで実用上は問題ありません。
ハンドル付きナットを空転しないように埋め込み、丸棒用の穴が2つあけば木工バイスの作業台側は完成です。これを作業台などに取り付けます。
3.バイス(ハンドル側)の制作
バイスのハンドル側も作業台側と同じ位置に穴をあけます。ネジを通す中央の穴は貫通させますが、丸棒を固定する左右の穴は貫通させず厚みの半分程度の深さまで掘ります。左右のシャフトに木の丸棒を使っている場合は貫通させずにボンドとネジを併用して固定する方法が簡単でしっかりと固定できます。
これで丸棒を固定すれば基本的な構造は完成なのですが、このままでは締めこむことはできても緩めたときにハンドル側の板が一緒に戻ってくれません。
一緒に戻るようにするにはナットなどで固定したりシャフトホルダなどを使用してハンドル側の板を固定する必要がありますが、今回は木をつかって自作します。穴の内径がネジの外径と同じくらいの輪っか状に木を切り出します。今回はネジ(ジャッキベース)の外径が28mmなので28mmの穴をあけたうえでホールソーで外径を50mmと70mmにカットした輪を2つ用意しました。
バイスのハンドル側の板のネジが通る穴に一回り大きな穴を掘ります。板厚の半分程度の深さで、先ほど切り出した輪っかがすっぽりと収まるように調整します。最初にネジを通すための穴をあけてしまっているためクランプでがっちりと固定して穴あけしました。本来は大きな穴→小さな穴の順で掘ればよかったのですが手順が前後してしまいました。
さきほど切り出した輪っかがすっぽりはまって自由に回転するくらいの余裕があればOKです。
次にこの輪っかをネジに固定します。今回は真鍮の丸棒(直径3mm)が手元にありましたので、3mmの穴をあけました。これを叩きこめば輪っかがネジと一緒に回ります。
輪っかはハンドル側の板に掘られた穴にぴったりはまって空転することで、バイスを開け閉めしたときに板も一緒に動いてくれるようになります。動きをスムーズにするためにグリスを塗りました。
更に板のハンドル側には輪っかを通した分の隙間ができてしまうため、もう1つ切り出しておいた輪っかをはめ込みます。ジャッキベースには鉄板が溶接されているので、輪っかを半分にカットしてから嵌め込んでねじで固定しました。こちらも板と擦れあう部分なのでグリスを塗っておきます。
4.ハンドルの制作
最後にハンドルを制作します。ハンドルは一般的には棒状のものが多く朝顔形などと呼ばれるドーナツ状のハンドルを使うこともあります。今回は指を引っ掛けて開閉時に早回しができるように円形のハンドルを制作しました。木を円形に切り出して等間隔に指が通るほどの穴を4つあけてトリマーで面取りをしただけのシンプルな形です。
ジャッキベースの溶接された鉄板には4つの穴があいているのでこれを使用しました。ジャッキベースの鉄板は分厚く頑丈なので、切断して棒状のハンドルをつけたり加工次第でおおよそのハンドル形状に対応できそうです。