木材が私たちの手元に届くまで

その他

木材が伐採されて私たちの手元に届くまでどのような過程を経ているでしょうか?なんとなくイメージはできても具体的な流れを知らないことは珍しくありません。

立ち木から原木まで

日本国内の森林資源はそのほとんどが山間部に分布しており、伐倒作業は傾斜地での人力による作業を余儀なくされます。伐倒された木材を「原木」と呼び、枝葉こそ刈り取られているものの樹皮が残り乾燥や加工もされていません。原木は草木生い茂る山中からトラクタやウィンチを使って運び出され、トラックが到達できる平地まで運搬されます。

平地に積み上げられた原木は、トラックで運ばれていきますが、運搬先は大きく3つに分かれます。1つは市場で、原木のまま競りにかけられます。もう1つは製材所で、競りの工程を挟まずに製材して商品としての木材に仕上げます。最後は卸売業者で、原木として販売したり製材後に販売するなど一般的な卸売業者のように中間業者として原木を取り扱います。

特に平地に森林資源を有する国外では、大型で高性能な伐倒と積載・運搬を一手に引き受ける重機の利用も盛んです。国内にも似たような方式の林業機械は多いものの比較的コンパクトで1つ1つの用途に特化しており、伐倒から積載・運搬まで可能な大型機械はほとんどありません。気になる方は「林業機械」などのキーワードで検索するといろいろな機械を見つけることができます。

市場から製材まで

市場を通じて販売された原木は製材所に辿り着きます。

市場を通じず製材所が直接買い付ける場合や、間に卸売業者が入る場合もありますが、木材として使用するには製材が必要になるためほとんどの原木は製材所に辿り着きます。また、海外から輸入された木材も多くの場合は原木のまま製材所に辿り着きます。製材所は生産地である山間部近くに集まりますが、輸入された木材を主に扱う製材所は輸入材の入り口となる港湾部の近くに位置しています。製材所を通過しない例もあり、例えば原木の状態から加工したいこだわり派の木工家であったり、原木の状態で個人に販売し、そこからはく皮(樹皮を取り除く作業)や製材を請け負ってお好みの素材に加工したり、フローリングなどに加工する一風変わったサービスを提供する業者も存在します。(個人で丸太から買いたい場合にはこうした業者を探し当てる必要があります)

こうした一部の例外を除けば製材所に辿り着き、まず始めにはく皮作業が行われ樹皮がざっくりと除去されます。はく皮作業には手持ちの工具も存在しますが、大量に製材を行う製材所では専用の大型機械(バーカー)を使用して一気にはく皮を行います。樹皮を剥ぐ機械全般を「バーカー」と呼びますが、バークとは樹皮のことで、ガーデニングを嗜む方だと「バーク堆肥」と呼ばれる樹皮から作る堆肥に馴染みがあるかもしれません。製材所で大量に発生する樹皮は堆肥としても活用されていきます。

はく皮が終わった木材は、大型で2枚の刃を持つバンドソー(同じ意味ですがバンドソーとは呼ばず帯鋸盤と呼ぶことが多い)で一気に板材に加工されていきます。樹皮に近い、いわゆる「耳」部分を落とすためのエッジャー(エッジは木の端、つまり耳のこと)も使用されます。バンドソーではなく2枚の刃を持つ丸ノコを使用することもありますが、趣味で使われる道具とは全く違い、その刃の直径は50cmを優に超え1mに近づきます。

この丸太からどのような形や角度で製材して木材を取り出すのか考えることを「木取り」と呼び、私たちが趣味で木工を行う際に行う木取りと規模や向きこそ違えど同じことをしています。

気になる方は「製材機械」などのキーワードで検索するといろいろな機械を見つけることができます。

乾燥から私たちの手元まで

製材された木材はまだ多量の水分を含んでいます。乾燥に伴い木は縮んで寸法が小さくなるほか、伐倒間もない木材は私たちの想像以上の水分を含んでおり、急激に腐朽が進んだりカビが発生することがあります。そこで乾燥工程が必ず必要になりますが、一部の木材はそのまま私たちの手元に届きます。呼び名は様々あるのですが、ホームセンターなどで見かける「野地板」「バタ角」などと呼ばれる商品がそれにあたります。こうしたカビなどによる見た目の悪化や木材は狂いが生じても影響のない場所で活用され、いくつかの工程をスキップしているため安価であるのが魅力です。また、製材しようにも元の木材が細すぎてまともな価値がない木材もバタ角として活用されたりします。

乾燥には木を並べて屋根のある屋外に放置して乾燥させる天然乾燥と機械を使って強制的に乾燥させる人工乾燥の2つのパターンがあります。いずれの方法でも乾燥後には寸法に狂いが生じるため、ここで最後の加工を行います。変形を取った製品は「荒材」などと呼ばれて私たちの手元に届きます。ザラザラとした表面や鋸のあとが残っていることが確認できます。寸法もあまり正確にあっていません。変形を取った後に寸法を合わせつつ表面を美しく仕上げます。モルダーと呼ばれる多軸の大型ルーターあるいはプレーナーに似た機械で一気に整形します。

こうしてできた木材がホームセンターを始めとした小売業者のもとへ届き、私たちの手元に届きます。

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