外構工事やお庭のDIYでも使用される「バサモル」。
セメントと砂と少量の水と混ぜ合わせるだけという手軽さから使用を検討している方も多いと思います。ここではバサモルに関する大きな勘違いポイントである接着力と強度を現物の写真を交えながら解説します。
20年経過したバサモルの様子
早速ですが、こちらはお庭の地面に踏み石を設置するために施工されたバサモルです。
施工から約20年経過しており、上には御影石の大きな踏み石が置かれていたものです。周りの土はよく水分を含んでおり、水分とセメントが反応して硬化1していてもおかしくなさそうなものです。
よく見てみると、御影石の形にはっきりとバサモルが残っています。このように綺麗に剥がれていることから分かる通り、バサモルの上にブロックを置いて水を掛けたところで接着力はありません。僅かにセメントが含まれているため理屈の上では接着力はゼロではありませんが、ほぼないと言って良いでしょう。
つまり、バサモルの上に施工した踏石やレンガが浮き上がろうとしたり、左右にズレようとしたときには全く無力ということです。
バサモルの硬さと強度
続けて硬さや強度はどうでしょうか?先程お見せした、約20年経過したバサモルの下にスコップを入れてみました。
手持ちのスコップで簡単に崩すことができてしまいました。このように、バサモルには強度はありません。粘りも硬さもありませんから、使い所には注意が必要です。踏み石などの下地として砂を敷きますが、砂のままでは水で流出したり崩れたりしてしまいます。それを防ぐためにセメントを混ぜて砂粒同士をほどよく繋ぎとめてくれているというわけです。
コンコンと打ち付けると、簡単に崩れてしまいます。コンクリートやモルタルと違って、ぼろぼろと簡単に崩れることもあって不要になったときの処理に困らないのは利点のひとつでしょう。
バサモルの使い所
これまで説明したように、バサモルには接着力や強度は期待できません。
それではバサモルが必要になるのはどのような場所なのでしょうか?また、バサモルを使うべきではないのはどのようなシチュエーションなのでしょうか?
バサモルには接着力や強度がありませんが、踏み固めることで沈み込みづらくなりますし、上に置いたブロックの凹凸を適度に吸収して平坦にブロックを並べるのにも役立ちます。つまり、浮き上がったりズレたりする可能性がある場所や、車などの重量物が乗る可能性がある場所には不向きと言えます。そのため大きな踏石や広い範囲を覆うようなレンガ敷きやブロック敷きには有効です。
例えば大きな踏石を土や砂の上に置いてしまうと、日々の荷重や雨による土の流出で踏石が傾いたりガタツキが出る場合があります。そんな時に土の上にバサモルを数cm敷き詰め、平らに均した上で踏石を設置します。バサモルは時間が経ったり水が浸透しても強度も接着力も出ませんが、ある程度砂同士が固まって水で流出することがありません。
このように、バサモルにはこんな効果が見込めます。
- 水で流出しない
- 少しは固まる
- 平らに均しやすい
- 砂とセメントだけで手軽に作れる
もし単純な接着力を求めるのであればセメントを水に溶いたものやブロック用のボンド、強度を求めるのであれば後述する緩いモルタル、安定した下地を作るのであれば路盤材がおすすめです。
ブロック用ボンド | 路盤材 |
チューブや缶、コーキングガンに装着するタイプなど多種多様。硬化後はやや柔軟性があるもののかなり硬く硬化するため接着力は抜群。 | 地面の上に強固で平坦な下地を作るために鋭角な砂利と粒度の異なる砂利を組み合わせた専用品。 |
下地作りに関しては路盤材を使用するのがおすすめです。普通の砂利では押し固めても容易に動きますが路盤材なら動かないガッチリした下地が作れます。通販では送料が高くなるためホームセンターなどで購入することをおすすめしますが、店頭においていないこともあります。取り寄せできる場合が多いので店員さんに聞いてみることをおすすめします。
接着力や強度は欲しいけどモルタルやコンクリートは使いたくない
もし接着力や強度を求めているものの、モルタルやコンクリートほどの強度がいらないという場合には市販のインスタントモルタルなどを多めの水でトロトロに混練した緩いモルタルを使うのもひとつの選択です。ねっとりとした粘度のある水くらいまで緩くしたモルタルは、セメントと水が反応してしっかりと硬化します。しかし、セメントと反応しきらなかった余分な水分は時間とともに蒸発して空洞を形成します。
例えばエアコンの室外機やプランター置き場といった、力がかかることのない場所であれば十分な強度を発揮します。水分量は慣れと加減が必要ですが、とろみのついた餡かけの餡くらいまで緩くしても多くの方が想像するよりずっと強固に固まります。特に目に見える部分に使用する場合は一度ちょうどよい緩さを見つけるためにテストをすることをおすすめします。
- セメントは水と反応して硬化しますが、この時かならず基準となる水分量を守ります。これによって複合的な強度と良好な施工性が得られます。逆に水分量が少ないとある一定までは強度が上がるものの隙間なく充填することが難しくなり、水分量が多いと強度が下がります。バサモルは極端に水分量が少ないためこうした一般的なコンクリートの考え方は適用されませんが、ちょっとは固まるということがイメージしやすいと思います。 ↩︎