木は対候性の決して高くない素材です。そのため屋外用の木工家具の寿命は短くなってしまったり、早い段階で接合部が緩んだり、木材の反りにより隙間ができたりすることがあります。それでもなお木のエクステリアやガーデン家具には魅力があります。
木材が屋外で劣化していく原因は雨や腐食と考えられがちですが、実は一番大きな原因が「太陽光」です。現代の防腐剤は高い性能を有しており、適切に使用すれば木材の腐食が原因で家具が寿命を迎えることはごくまれです。次に重要なのが「構造」で、木材は多少の変形や劣化にも耐える力がありますが、そもそも多少の劣化で強度を維持できなくなる構造をしている家具は屋外での使用には適しません。
できるだけ対候性の高い樹種を選択し、防腐剤や適切な表面処理をする前提で太陽光と構造に焦点を当ててみたいと思います。
太陽光
太陽光に含まれる紫外線は木の成分を分解する効果があり、日当たりの良い場所に置いた木材は1年未満の短期間が表面がデコボコしたり、ガサガサし始めます。徐々に枕木のように表面のデコボコが大きくなる原因が紫外線です。
これは屋外用の木部保護によく使用される防腐剤で防ぐことが難しいです。色が濃いものを選べば染料が木材を保護することで多少の寿命を延ばすことができます。根本的な対策はペンキや紫外線を防ぐ成分が添加された屋外用のニスなどを使用する必要があります。ただし、この紫外線による劣化は木材らしい雰囲気を強調してくれて、過度に気にしすぎる必要はないかもしれません。
同様に成分の分解による色褪せや防腐剤の色も太陽光を浴びる部分の方が早く退色していきます。そのため日当たりの良い場所に置いた家具には定期的なメンテナンスが必要になります。
また太陽光は昼と夜で極端な温度変化や表面の乾燥を生み出すため、木材自体が収縮・膨張し接合部の強度低下や割れの原因になります。
構造
屋外に設置した木製品は先述のように必ず部分的な収縮と膨張を繰り返して割れや反りを発生させます。更に夏の直射日光を受けると表面は非常に高温になります。
この影響により木材同士の接合部は隙間ができたりボンドの接着も徐々に乖離し始めます。またネジで固定した場所はネジの締め付けに逆らうように木材が動き、徐々にネジが緩んだりネジを起点に割れが生じます。こうした接合部の動きやネジのゆるみが生じたときに構造が崩壊しないように設計が必要になります。接合部は緩んでも問題ない前提で設計することになりますが、最も基本的な方法が木組みによる方法です。またドミノやダボを使った接合も有効です。ネジやボルトを使った接合もある程度柔軟性があるため、構造的に重要ではない部分には積極的に使用して問題ありません。構造的に重要な部位でも、金物などを活用することで柔軟性を維持して固定することができます。
ダイドーハント (DAIDOHANT) (Z金物) Zマーク 羽子板ボルト (に) SB-F2 釘穴無し(呼び径)M12x(長さL)310mm …
ただし、こうした接合部が緩んだ時に重力に従って構造が崩壊しないように接合の方向や構造を意識する必要があります。
これらに加えて、長期間の使用ではどうしても木材の腐食が進みます。冒頭で説明したように昨今の防腐剤を塗布すれば腐食の心配はかなり減らすことができます。しかし、水が溜まる場所は腐食しやすいです。どれだけ精密で柔軟かつ頑丈な木組みをしても、そこに水が溜まるような構造では木の腐食が非常に早く進行します。どれだけ対候性が低い木材で防腐剤を塗布しなかったとしても、水が流れ落ちたり乾燥しやすい部分はなかなか腐食しないものです。