【木工Q&A】屋外では杉やSPFは長持ちしない?

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ホームセンターでも入手しやすく安価な杉や2×4などでよく使用されるSPFは対候性が低いと言われています。

確かに横並びで比較すれば腐食が早い樹種ではありますが、屋外における木材の劣化には樹種以外の要因が非常に大きいです。そのため木材の劣化の基本的な知識があれば杉やSPFを屋外で使用することも十分可能です。防腐剤を塗布した場合は10年以上長持ちさせることも容易に可能です。ここでは基本的かつ最も重要な3つの要素を紹介します。

1.直射日光は木材の大敵

まず始めに、屋外における木材の劣化の一番の原因は太陽光です。

雨ざらしにされて腐食が進んだり地面に触れている部分から腐食すると思われがちですが、実際には腐食はそう早く進みません。それ以上に目に見える形で木の表面が劣化していく原因が太陽光です。太陽光に含まれる紫外線には木の成分を分解する効果があり、日当たりの良い場所では半年と経たずに表面のデコボコが目立ち始めることもあります。

また直射日光が当たる面だけが極端に熱くなったり乾燥することで収縮や膨張を起こし、変形や割れの原因になります。

2.防腐剤を定期的に塗布すれば腐食の心配は少ない

昨今の防腐剤の性能は非常に高く、定期的に塗布していれば早々腐食が進むことはありません。

例えば杉は対候性が高いわけではありませんが、実は極端に低いわけでもありません。特に中心に近い赤身部分はそれなりの対候性を有しています。一方で集成材であるSPFは杉以上に対候性に難がありますが、それでも防腐剤を塗布すれば10年以上長持ちさせることもできます。

むしろこうした腐食以上に影響が大きいのが一番目に紹介した太陽光で、これを防ぐには特に色味の濃い防腐剤を選ぶか、紫外線を防ぐ効果のある成分を含んだ屋外用ニスやペンキを塗布するしかありません。

安価で高性能な防腐剤の定番。吉田製油所の「クレオトップ」。

3.水が溜まらない乾燥しやすい構造を考える

最後に重要なのが作品全体の構造や設計です。

木材の腐食は水分が原因になることが多いですが、その水分も屋外では自然に乾燥してしまうものです。逆に水が溜まるような構造をしていたり、乾燥しにくい入り組んだ構造になっているとそこから急速に腐食が始まります。屋外用の木工作品では、とにかく水が流れ落ちやすいように、通気性を保てるように構造を考えることが重要です。

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