【木工Q&A】高価な木工用ボンドを選ぶ理由ってなに?

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木工用ボンドといえば「コニシ」や「セメダイン」の黄色いパッケージのボンドが定番です。

最近ではこれら以外にも海外ブランドの高性能ボンドが登場しており、タイトボンドやゴリラグルーが特に有名です。こうしたボンドは高価格ですが、それ以上の耐熱性や耐水性、接着強度と言った性能を謳い文句にして販売されています。

まず始めにこれらのボンドの価格について現地の実際の小売価格を参考にしながら比較してみます。

製品名参考価格
100gあたり
特徴
木工用ボンド50円コニシ・セメダインなどから販売されるスタンダードな国産木工用ボンド
速乾木工用ボンド80円コニシ・セメダインなどから販売されるスタンダードな国産木工用ボンドの速乾性を高めたもの
タイトボンドオリジナル115円タイトボンド社の最もスタンダードな製品で速乾性があり国産ボンドでいう速乾タイプに近い
タイトボンドⅢ145円タイトボンド社のボンドのなかでも耐水性が高く屋外家具にも適した高性能ボンド
エルマー・ウッドグルー100円エルマー社のスタンダードな木工用ボンドで速乾性があり国産ボンドでいう速乾タイプに近い
ゴリラ・ウッドグルー120円速乾性・耐水性などを備えた高性能ボンド
国産木工用ボンド(上2点)以外は北米の現地販売価格を記事執筆時点の為替レートで算出しています

以上が簡単にまとめた表です。海外のボンドは高いと思われがちですが円安の影響が非常に大きいです。例えばタイトボンド・オリジナルやエルマー・ウッドグルーはコニシやセメダインの速乾タイプの木工用ボンドと似た機能性を有していますが、1ドル120円くらいになると価格はほとんど同じになります。

国産の木工用ボンドに耐水性や屋外にも使用できるタイプがないのは、他製品との住み分けのためと思われます。「木工用ボンド」という品名では屋内向けしかありませんが、木部に使用可能な屋外向けボンドは多数存在します。また、木工用ボンド=酢酸ビニル樹脂というイメージが強いですが、対候性を得るのであればわざわざ酢酸ビニル樹脂を選ぶ必要はありません。そのためコニシやセメダインには「屋外用木工用ボンド」というカテゴリーが存在しないものと思われます。

接着強度のために高価なボンドを選ぶ必要はありません。ボンドの接着力は安価な木工用ボンドでさえ既に木材の表面強度を超えています。ボンドで貼り合わせた木材同士を無理矢理剥がしたときに、木材の表面が一緒に剥がれてしまった経験はないでしょうか?いくら接着力が増加してもボンドが接着する面は木です。既に安価なボンドでさえ木の表面強度を超えている以上は接着力に関して高価なボンドを選ぶ理由はありません。

速乾性は作業を効率的に進めるために重要な要素です。ただし速乾性を謳うボンドであっても十分な強度を得るためには十分な時間を置く必要があり、本当に速乾性を求める場合は瞬間接着剤やコンタクト接着剤、2液性の接着剤などを使用します。

耐水性は高性能なボンドを選択する際に重要なポイントです。通常のボンドは耐水性がやや低く、屋外で力のかかる場所に使用するとあっさりと剥がれてしまう場合があります。ただし、屋外で使用する家具や木工作品は常に日光や雨により激しい温度変化と加湿・乾燥の影響で収縮と膨張を繰り返します。このため耐水性のあるボンドだからといって屋内家具と同じように使用すると簡単に剥がれてしまいます。こうした影響を考慮したうえで、ボンドが適切な選択肢である場合には耐水性のある高価なボンドを選択しても良いでしょう。

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