YouTubeに投稿した十二角形のレイズドベッドについて解説します。
材料は安価な杉の荒材(厚35mm・幅200mm)です。この両端を15度ずつカットすることで、十二角形を作ります。幅200mmで十二角なので円周2400mmで直径は約765mmです。
レイズドベッドのなかには水分を含んだ土がたっぷり入るうえ、紫外線や水分で劣化が進みやすいです。そのためこうした接合強度が確保しづらい構造にはしないのですが、今回は庭造りの一環として庭のアクセントにするためにこの形状にしました。タルのように外周をベルト(帯鉄)で巻いてビスを打てば十分な強度が得られますが、程よい帯鉄が入手できなかったため今回は諦めました。
そこで今回は4つの固定方法を併用することで強度を確保してみました。
1つ目の固定方法は「ボンド」です。シンプルな接着剤ですが、水分を含めた屋外に強く強度も高いアクリル樹脂のブロック用ボンド(セメダイン ピタブロック AE-228)を使用しました。また2つ目の固定方法にはポケットホールジョイントを使用しました。ポケットホールジョイントはレイズドベッドには強度不足で、実質ボンドで張り合わせるときの仮止め用に使用しました。
ボンドもポケットホールも補助的な役割しか期待していませんが、今後エクステリア用の木工も挑戦していきたいのでどのくらい耐久性が得られるか良い検証になると思って取り入れてみました。
3つ目の固定方法は「かすがい」です。使用したのは「ダイドーハント リングかすがい 6×90」でクロメート仕上げです。ユニクロより対候性が高いクロメートですが、今回は色味が木に馴染みやすいためクロメートを選択しました。どのみち錆びてくると思いますが、錆も木の色と馴染んで良いアクセントになると考えています。かすがいは十二角の外側に打ち込むので1本ずつ折り曲げて角度をつけました。
リング付きのお陰で抜けづらいですが柔らかい杉で屋外使用であることを考えると、これが一体どれくらいもつのか気になるところです。十二角分に分散されることを考えると、意外とこれだけでも十分な強度が得られるのかもしれません。
かすがいは上下に2本ずつ、各角に打ち込んだので計24本必要です。実際には4角ごとに上中下の3本打ち込んで見た目上のアクセントにしているため、計27本打ち込みました。本当は1角あたり4本ずつ打ち込んで計48本打ち込もうと考えていたのですが、意外と目立つので48本は見た目が悪くなると思い減らしました。
腐食や虫害も心配な地面と接する面は防腐剤の上にボンドを厚塗りしています。硬化してアクリル樹脂になるので防腐剤だけより少しは長持ちしてくれそうです。防腐・防虫剤としては長らくレイズドベッドに使用している「吉田製油所 クレオトップ」を使用しています。とにかく安いうえに防腐・防虫性能が高くレイズドベッドに最適です。対候性の低い集成材であるSPFですが5年経っても腐食らしい腐食が見られないくらいなので、杉と組み合わせれば10年は十分に使えそうです。ただし、紫外線による劣化は避けられないので、常に湿っている内側より太陽光を浴びる外側が先にぼろぼろになってしまいます。
逆に天面の木口は見た目と保護のために角材に溝を掘ってトリムを作成しました。
ここが一番に紫外線を浴びる部分なので、ペンキで塗装する前提です。見た目のアクセントにもなるうえ、紫外線による木材の劣化には一番手軽な対策です。レイズドベッド本体はペンキで塗装することでせっかくの通気性を損なってしまうため、悩ましい部分です。
最後に4つ目の固定方法として、十二角分の各板材が離れていかないように十字に寸切りボルトをいれました。
シンプルながら一番有効な固定方法かもしれません。かすがいやポケットホール、ボンドで弱いながらも満遍なく負荷を受け止めつつ、大きな力はこの十字のボルトが受け止めることで全体としては変形や破損を避けられるのではと期待しています。もちろんボルトを使う以上は外側からナットで固定するのですが、幅広ワッシャーと袋ナットを使うことでこれまたちょうどよいアクセントにできたと思います。
今回はこの十二角形のレイズドベッドを2つ制作しました。
これから冬を迎えるため、1つには大根とスナップエンドウ、もう1つにはイチゴとネギを植えています。