【木工Q&A】趣味の木工に最適な集塵機と集塵システムってなに?

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木工に欠かせない集塵システムは、作業場の広さも予算も異なる趣味の世界では悩みの種になりがちです。せっかく良い集塵機を買っても使いづらかったり、作業の効率が低下してしまうなど集塵システムの世界は奥が深いです。

コンパクトな木工作業場における典型的な集塵システムは、パワフルな集塵機を1台設置してそこからダクトを各工具まで伸ばします。ダクトの先には工具と接続するためのフレキシブルなホースを使います。そのままでは分岐したすべての出口から空気を吸い込もうとして効率が悪いため、すべての分岐をブラストゲートなどと呼ばれる遮断機を使用して遮断し、使用するポートのみ空気を吸い込むようにします。集塵機は騒音や振動が発生しやすいことや管理の観点から作業場の外の隔離されたスペースに設置されることが多いです。集塵機の電源のON/OFFやブラストゲートの開閉はリモコンや工具と連動するワイヤレス式も増えてきていますが、手動の切り替えもまだまだ主流と言えます。

ただし、日本ではDIY大国であるアメリカやオーストラリアなどとは異なりパワフルな集塵機の選択肢がそれほどありません。また一般的な住宅の敷地面積では大型でパワフルな集塵機の導入のハードルが高いです。これに加えてパワフルな集塵機は家庭用電源とは異なる三相200V(商用電源などと呼ばれる)で駆動するため電源工事と契約の変更が必要になり、そのハードルは更に高くなっています。一般家庭でも容易に導入可能な単相100Vや単相200Vの誘導モーターで集塵機を自作する方がむしろハードルが低いくらいです。(かくいう私は集塵機を自作しています。)

こうした基本的な集塵システムのハードルが高いことがわかりました。そこで国内の趣味の木工シーンを考えたときに現実的な小型・中型の集塵機を各1台使用する計2台の集塵システムをおすすめしています。

1.手持ちの工具に接続する集塵機

趣味の木工でよく使用される手持ちの工具で集塵機を接続する代表的な工具は以下の通りです。

サンダー丸ノコトリマー

サンダーではランダムサンダーやオービタルサンダー、ベルトサンダーがあったり、ジグソーやルーター、あるいはポケットホールジグやジョイントカッター類も集塵機との接続が可能になっています。こうした手持ち工具は集塵ポートと粉塵の発生源が近く、大量の木くずが短時間で発生せず、ホースが太すぎると取り回しが悪くなることなどから集塵ポートの直径は25mm程度であることが多いです。ホース自体も20~40mm程度の細めのホースを使用します。メーカーによって微妙にアダプタのサイズが異なるためメーカーを統一するとストレスが少ないです。また各メーカーともに集塵ポート接続用のアダプタが販売されておりメーカーを統一して適切なアダプタをそろえてしまえばすべての集塵を1台の集塵機でこなすことができます。

こうした細いホースが接続できる集塵機は幅広いランナップがあり、キャスター付きの掃除機タイプからコンパクトさを重視したポータブルタイプなど選択肢は幅広いです。メーカーや機能の差も大きく、安価なものでは1万円程度から導入可能です。

掃除機タイプポータブルタイプ

趣味の木工ではこうした工具を使う場所は限られていることが多いです。例えば作業台の上やその周りで使用することが多いでしょう。こうしたときは少し長めのホースと集塵機を組み合わせて作業台の下や付近に設置することで、手持ち工具の集塵を一挙に担うことができます。

また、そもそも作業場のレイアウト自体を集塵機を起点に考えることが重要で、工具の使用場所を分散させない配置が必要です。

2.据え置き工具に接続する集塵機

手持ちの工具と異なり大きな据え置き工具は集塵ポートが50~75mmほどであることが多いです。例えばバンドソーやスライド丸ノコ、卓上丸ノコ、テーブルソー、自動カンナなどがこれに該当します。

こうした据え置き工具に対して先ほど紹介したような小型の集塵機を接続すると風量が足りずにまともに集塵が機能しません。また木くずを大量に排出するカンナ系の工具ではホースが一瞬で詰まったり、タンクがすぐにパンパンになって使い物になりません。

残念ながらこのサイズになると選択肢の幅が一気に狭まります。

マキタ 410ムラコシ MY-75X

マキタ 410は昔からある定番の集塵機で75mmのホースが付属する集塵機としてはかなりコンパクトです。風量も少し控えめですが、それでも1番目に紹介した小型集塵機たちとは数倍の差があります。また、集塵機メーカーであるムラコシが販売するMY-75Xも比較的コンパクトに抑えられた集塵機です。ホースは100mmを使用するため75mmに変換する必要がありますが、確かな風量が得られるのはこちらです。こうしたフィルターバッグが上方に膨らむタイプの集塵機としてはかなりコンパクトでフィルターが上、ゴミ袋が下についているので粉塵を分離できて非常に効率的でフィルター詰まりも起こりにくいです。バッグとゴミ袋のスペースやメンテナンス性を考えれば横長で溜まった木くずを掃除するために粉塵が舞い上がるマキタ 410よりムラコシ MY-75Xの方が利便性は高いです。

この2機種、実は正反対の特性を持つ集塵機でマキタは高圧型、ムラコシは風量型です。詳しくはこちらの記事で解説していますが、利用シーンに応じて適切な集塵機は異なります。

価格も当然効果になりますがマキタ 410なら5万円程度、ムラコシ MY-75Xは20万円程度です。いずれも長く使える工具ですから、中古品を手頃に入手するのもひとつの手です。

こうした中型の集塵機は基本的に据え置きで使用するため、作業場のレイアウトと工具の配置をよく考えホースがうまく取りまわせるよう配置するのが大きなポイントです。

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